分譲マンションを購入した場合、共有部分について区分所有者が維持管理・修繕をおこなうことになっています。修繕工事は長期に渡り多額のお金がかかるため、一括で支払うとなると所有者にとっては大きな負担です。将来修繕にかかる費用を考えると、修繕工事の計画についてのガイドラインを作成しておくといいでしょう。
長期修繕計画とは、将来見込まれる修繕工事の内容や時期、費用などについて作成した計画です。長期修繕計画の期間は新築マンションの場合30年、既存のマンション25年、大規模修繕の周期は12年程度が目安とされています。
一度作成すればそれがずっと継続するというわけではありません。国土交通省の「長期修繕計画作成ガイドライン」によると、5年ごとに見直しが必要であると明記されています。
※参考サイト(https://www.homes.co.jp/cont/buy_mansion/buy_mansion_00613/)
マンションの長期修繕計画を立てる目的は将来見込まれる工事の内容や費用を把握し備えるため、修繕積立金の根拠を示す、修繕工事をスムーズにおこなうためです。
壁面に小さなひび割れを発見したとします。今は小さな傷でもそのまま放置しておくと大変なことになるかもしれません。見た目も悪いとマンションの価値も下がってしまいます。マンションを長く安全に維持していくためには建物の状況に合わせて修繕が必要です。大規模な修繕工事は費用もかかります。資金面についても考えておかなくてはなりません。定期的工事もあるでしょう。あらかじめ、工事の時期や費用を考慮しながら計画や資金を積み立てておくことが重要です。
修繕積立金はマンションの区分所有者が負担します。修繕に必要な費用がどのくらいかかるのかわからなければ、積立金を負担することに納得しない人もいるでしょう。積立金は共同資金です。すべての区分所有者が納得できる根拠を示す必要があります。想定した金額よりも修繕費用が高くなると予測すると、値上げを検討しなければならないことも考えられます。長期修繕計画で根拠となるデータを作成しておけばトラブルが発生するのを防ぐことができるでしょう。
工事は小規模であっても準備期間を入れると月単位、年単位かかると言われています。大規模な工事であれば1年以上前から準備をすることになるでしょう。区分所有者同士で修繕計画の時期や資金面について共有しておくと、修繕工事もスムーズにおこなえます。
建築関係の主な項目は仮設工事や外壁塗装、タイル補修工事、防水工事、鉄部塗装工事、建具・金物工事です。
建築関係の項目は大規模修繕工事に実施されることが多く、各戸のバルコニーの防水工事は足場であり、足場が建つ大規模修繕工事と同時におこなえば経費の負担も軽くなります。鉄部の補修は5~6年が目安だと言われており、サッシや玄関ドアなどの建具は築30年を超えたあたりで交換時期を迎えます。
※参考サイト(https://www.yashima-re.co.jp/column/%E3%83%9E%E3%83%B3%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3%E3%81%AE%E9%95%B7%E6%9C%9F%E4%BF%AE%E7%B9%95%E8%A8%88%E7%94%BB%E3%82%92%E5%BE%B9%E5%BA%95%E8%A7%A3%E8%AA%AC/)
建築関係の主な項目は給水設備や排水設備、ガス設備、空調・換気設備、電灯設備、情報・通信設備などです。
項目を見ると、水・ガス・電気設備と生活に欠かせない項目が並んでいます。長期修繕計画内で予定を組みながら、定期的なメンテンナンスについても対応しておきましょう。
防犯カメラの増設や通信設備のアップグレードを希望する人も多いようです。時代の流れを考慮して上手く取り入れておくと、居住性や資産価値も上がるでしょう。
長期修繕計画に記載されているのは、現在の修繕積立金の累計金額、戸あたりの修繕積立金の月額、修繕積立金の収入月額です。また、借入金がある場合には金利を含めた返済額も記載されています。
収支の状況を確認することで、毎月いくらの修繕積立金があるのか、長期的な収支の状況、短期間のうちに発生する可能性がある小規模修繕、大規模修繕工事の積立金が得られるのかなどがわかります。
マンションの長期修繕計画は、一度作成すると継続していくものではありません。計画なので、年月が経てば変更する部分が出てきます。定期的に見直しをして、計画が今の状況を合っているのか、費用の変動はないのか、物価や人件費の上昇に反映できているのかなどを確認しましょう。
物価上昇に伴い、材料費が高くなっているかもしれません。人手不足による人件費の上昇もあるでしょう。当初予定していたよりも大幅に増える可能性もあります。
修繕積立金のマイナスが発生した場合は早めに対処しましょう。まずは工事の時期や内容を見直します。それでも解消できないときは修繕積立金の値上げや一時金の徴収、借り入れなども検討することになります。
積立金の値上げは区分所有者の生活にもかかわる問題です。慎重におこなわなければなりません。判断するには専門的な知識も必要になるでしょう。マンション管理士等専門家に相談をしながら早めの対策を実施してください。
マンションの長期修繕計画は、将来見込まれる工事の内容や費用を把握し備えるため、修繕積立金の根拠を示す、修繕工事をスムーズにおこなうために大切な計画です。一度作成すると終わりではありません。状況に応じて見直さなければ、修繕費用が計画よりも大幅にアップする可能性もあり、修繕積立金の値上げすることも検討しなければなりません。定期的に見直しをおこない、修繕積立金のマイナスが発生した場合は早めに対策を講じましょう。



選定基準:
一般社団法人 マンション管理業協会に属し、埼玉県に事業所・支店があるマンション管理会社の中から、担当者の担当棟数を10件以下に制限している3社を選出。
・ホームライフ管理…事務管理から建物の管理(大規模修繕工事の実行まで)をワンストップで対応している。
・三興管理……独立系マンション管理会社で、HP上でリーズナブルな価格について言及している。
・マリモコミュニティ……マンション内のコミュニティのサポートを行っている。
として選出しました。